「浅野さん、スペイン留学大変だったんですねー」 このブログを読んだ人は口々にそんな労いの言葉をかけてくれる。 確かにその通りで、あの‘事件’から9年近く経った今(2020年10月)でも、昔話として笑い飛ばせるようなったが、傷が癒えたわけではない。特…
■捨てる神あれば・・・ マドリードの夜道。街灯が少なく薄暗い。スーツケース2つを引きずり、肩を落としてトボトボと歩く。 40歳を過ぎてこの様か…。高校、大学時代の留学でもこんな惨事(所持金は盗まれ、家主と喧嘩して家を出るなんて事態)は起きなかっ…
■重い腰をようやく上げた女家主 ピソの玄関を開けると残り香ならぬ、怒りの雰囲気が残っていた。 リビングルームへ行くと、このピソの家主が、コーヒーを飲みながら電話をしている。 グレーのパンツスーツを身につけ、背の高い彼女には似合っていた。 「よう…
「眠れない…」 真っ暗な部屋の天井を見つめ、いつになったら眠りにつけるのか、翌日の授業を心配しながら安眠を願うのだった。 時差ボケは時差がある国に行けば誰しもが直面する。私の場合、4~5日は時差ボケを引きずる。それを軽減するため、飛行機に搭乗…
2012年1月上旬、マドリードに到着。 着くや否やスペイン人から異口同音に「イカリングのボカディーヨ(スペイン風サンドイッチ)は食べたか?」と聞かれた。ここは、イカリングのボカディーヨが有名らしい。 「なんで、海のないマドリードがイカリングなの…
2010年11月。ふじこ40歳――。 東京国際映画祭という大イベントを終了したばかりの私は、魂が抜けた放心状態から少し回復しつつあった。2か月近く最終電車で帰宅する仕事漬けの日々だったが、終了後は、朝は定刻に家を出て、残務整理をして定時に帰宅。たまに…